件の推し香水ですが、日本の実家には届いたそうなので、妹に頼んで写真を送ってもらいました。写真を見て我慢できなくなってしまった私は、もう今いるヨーロッパで現物を買ってしまおうと思ったのでした。何より、海馬くんとバクラくんのイメージ香水は両方ヨーロッパのメーカーのものだったので、こっちで買ったほうが安いのです。今の円安を抜きに考えれば、の話ですが。
と、言い訳を念じながらインターネットで両方を購入しました。そうこうしているうちにバクラくんの香水がうちに来ました。配達員のお兄さんから段ボールを受け取り、気を鎮めてから手首に吹きかけてみました。
うん、うん……ユニセックスと聞いていたけど、ちょっとメンズライクな雰囲気がある。なんか思ってたより爽やかな香りだな……。夏の並木を通る風みたいな、すごいさっぱりした……これって言うほどバクラか? いくぶん爽やかすぎない?
と思っていたところ、急にグンとスパイシーな香りがしました。え、あ、待って!! ちょっと待って!!! これは!!!! 考える間も無く香りは次第に深みを帯びていって、南国の深い海を思わせる重層的な風景へと変化しました。そこにフローラルな香りが重なり、非常に多様な面が見えます。
あーーーーー!! あーーーこれは!!!! あーーーーーーーー!!!!!!
バクラや
バクラがおる
この香水を選んでくれた人、ありがとう
ところで、香水音痴の私なのですが、この香水の情報を調べると、構成は
トップ:ラベンダー、シソリーフ
ミドル:ブルーティーアコード、バイオレット
ラスト:イリス、ムスク
であることが分かりました。香料に詳しくなさすぎて半分くらいしか分からないのですが、せっかくなので何の香料がどんな特徴を持っているのか調べてみました。
ラベンダーはさすがに分かるとして、シソリーフってしその葉っぱのこと? 調べたところ、多分そうみたいです。しそ、かあ……。しそ、子供の頃近所のおうちで高確率で植わってて、友達の家行ったときもものすごい確率でしそジュースが出てきたんですよね。その、しそらしいです。
ミドルのブルーティーアコードは何がなんだか分かりません。調べたところによると、まず区切りが「ブルーティー・アコード」なんですね。この香水が中国の青茶=烏龍茶を題材にしているとのことなのでブルーティは分かるのですが、アコードとは何のことだろう、と思ったので引用します。
アコード(Accord)とは調和、協定、一致と言った意味を持つ。 香水用語としては、「香りの調和」をさす言葉。複数香料を調香した際のバランス具合などを意味する。
出典元:https://www.fashion-press.net/words/434
分かったような、分からんようなという感じがします。とりあえず、青茶風にブレンドした香料と捉えればいいんでしょうか。
続いてのバイオレットはすみれですね。でもすみれをこれまでの人生でにおったことがないので、匂いのイメージが湧きません。これをインターネットで調べてみましたら、香料に使われるのは「ニオイスミレ」という品種で、甘くて爽やかな香りがするとのことです。そう言われてみれば、そんな匂いを感じる気がします。
ラストのイリスも調べてみます。検索結果に出てきた画像では菖蒲に似た紫色の花が出てきたのですが、香料に使われるのは「ニオイアヤメ」という菖蒲に近い種みたいですね。このイリスの原産地は地中海沿岸地域ということでエジプト感が出てまいりました。
そして最後のムスクですが、これもよく知りませんので調べます。これまで何度もムスクという単語に触れる機会がありましたが、その度に「あ〜ムスクねハイハイ」とごまかしごまかし生きてきたツケを今払うことになりました。なんとなく「古代エジプトと関係ありそう」と思っていたムスクですが、クレオパトラが好んで使用していたという逸話があるようなので、それを断片的に覚えていたのかもしれません。ジャコウジカの香嚢(こうのう)という部位から取れるこのムスクは、それ単体では不快な匂いなのですが、わずかな量を香水に混ぜることで深みのある豊かな香りにしてくれるそうです。その性質からラストノートに使われることも多いとのこと。
以上、一通り調べてみて、全体的に爽やかでフローラルかつ、そこに青茶やムスクといった要素が足されて深みのある印象になっているのかなと思いました。
実はパッケージを開けてすぐ感じた香りに対して「車の芳香剤じゃん」と思ってしまったのですが、実際に肌に馴染ませてみるとそんなことは全くない高級な香りで、車の芳香剤とは一線を画していて安心しました。
それにしても、今回バクラくんの香水を実際に試してみて、想像より夏っぽい雰囲気の香水だったことに驚きました。私が今回依頼文に書いたバクラくんに関する説明は、大まかな経歴と私の持っているイメージについてのみで、特に季節感などは指定していませんでした。言われてみれば、彼の存在の刹那感は夏を思い起こさせますし、季節でいえば夏で表せるのかもしれません。他の人に推しを再解釈してもらうとこういう発見があるのだなあ、という大変面白い体験が出来ました。
明日、海馬くんの概念香水が届きます。