先生の訃報について

遊戯王原作者の高橋和希先生が先日逝去された件について、心からお悔やみを申し上げるとともに、ご冥福をお祈りいたします。

心の整理はまだつかないのですが、先生は7月によく沖縄に行かれていたとのことなので、先生が直前までそこで楽しい時間を過ごすことができたのかなと思うと少し落ち着いて考えることができます。

やはり、人が亡くなるということは何度経験しても辛いですね。私は約10年前に遊戯王という作品を知り、その作品のメッセージ、そして何より海馬瀬人というキャラクターに何度も救われてきました。この作品を知って、ゲーム、世界史、神話などさまざまな新しい世界の扉を開くこともできました。先生には感謝してもしきれないほど、遊戯王の恩恵を受けてきました。そんな中で、先生はいつも元気でいらっしゃるもの、という傲慢さが自分の中であったように思います。これからの日々の一瞬一瞬を大切に生きなければならないのだと改めて痛感しました。

先生、今までお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

推し香水使ってみた(海馬くん)

 海馬瀬人の概念の香水が届きました。バクラ香水が届いた次の日でした。非常にワクワクしながら箱を開けると、すでにスパイシーな香りが鼻をついてきました。お、これはどうなるんだ、と思いつつ蓋を外し、さっそく手首に吹きかけてみます。

 そもそもの話なのですが、私は海馬くんの香りが全く想像できていないまま注文をしていました。よくよく考えたら、私は海馬瀬人に匂いがあるというイメージすら持っていないなかったので、どんな香水が来てもある意味では私のキャラクター分析に沿わないのではないかなと思っていました。今回の香水が私の海馬くんへの解釈にどのような影響を及ぼすのか、それが非常に楽しみで注文をしたという感じです。

 吹き付けてすぐ感じたのは、とても強いベルガモットとスパイシーな香りでした。このスパイシーな香料はジンジャーらしいです。おお、これはなんか海馬くんのイメージにはなかった! という感じでした。柑橘とジンジャーという組み合わせが想起させる健康的な印象が海馬くんにはなかったので、ちょっと意外という気がしました。

 ただ、このトップの刺激は意外に早く薄れ(特にジンジャー)、その奥に潜むオレンジの花とグリーンノートが顔を覗かせます。フローラルかつ青葉を感じさせる香りに庭園やと城の内部を抜けた中庭を思い浮かべました。

 この香りの状態がしばらく続き、ラストノートではルバーブとムスクが現れます。爽やかさが一層強調されるような感覚がしました。

 この香水を試してみて、徹頭徹尾すっきりで爽やかな印象を持ちました。特にトップとラストでは、前者ではスパイシーな部分もありましたが、透き通るような夏の空気を感じました。また、特に印象に残ったのはミドルのお花と葉の香りです。ここだけは少し温室や中庭のような、室内に拵えられた植物を思い浮かべました。ここで私はやっと、

ほぁ

海馬瀬人

と思いました。

 なぜかと言いますと、海馬くん宅には温室があるとなんとなく想像していて、そして海馬くんは外界と隔った温室なり中庭なりにいるのが似合うなあと思っていたからです。海馬邸の植物がこれらの香料のように南国のものばかりかは全く類推するほかないのですが、DEATH-T前の海馬くんがあんな青白〜い顔して南国の植物に囲まれてたら気味悪くて最高だなと思いました。DEATH-T後もきっと似合うだろうとも思います。

 特にこのミドルノートは万人受けしそうなフェミニンな雰囲気を感じさせます(もちろん男性がつけても全く違和感はないです)。好き嫌いの別れなさそうな落ち着いた香りには、なんとなく昔流行った「人類モテ」という言葉が浮かびました。

もしこれを海馬くんが身につけていて、すれ違いざまに ふわ と香りでもしたら、

あ 好き

と思ってしまうかもしれません。

 あと、話が前後するのですが、最初の刺激的なジンジャーと強いベルガモットの香りはある側面では海馬くんの印象と通じるかもしれません。彼は出会う人出会う人に強烈な印象を与えるでしょうから、彼の概念を模した香水も最初にパンチがあってもいいと思います。そのあとのミドルのフローラルな香りへの移行は、彼の魅力に引き入れられた人間が彼に感じる心地よさと捉えることもできるのではないでしょうか。その香りもスッと消え、最後に残るムスクとルバーブの爽やかな香りは、海馬瀬人というさまざま境界に立つ人がいずれかへ立ち去ったときに、残された人の心に残る諦めのような寂寥感に似ていると思いました。

 また、スパイシーさや南国感はエジプトを思わせますし、柑橘の通り抜ける香りは彼らしい信念の強さの表現となっているのかもしれません。香り全体を通して感じる夏らしさもまた、バクラと同じ理由で彼の刹那的な生き方を表しているようでした。

 とにかく、この香水を選んでくれた方は絶妙なチョイスをしてくださったのだと思います。この香水はオーデコロンに近いので、香りは2時間ほどでほとんど飛んでしまいます。そこもまた、海馬くんらしいのかなと感じました。

 以上、限界オタクのレポートでした。

推し香水使ってみた(闇バクラ)

 件の推し香水ですが、日本の実家には届いたそうなので、妹に頼んで写真を送ってもらいました。写真を見て我慢できなくなってしまった私は、もう今いるヨーロッパで現物を買ってしまおうと思ったのでした。何より、海馬くんとバクラくんのイメージ香水は両方ヨーロッパのメーカーのものだったので、こっちで買ったほうが安いのです。今の円安を抜きに考えれば、の話ですが。

 と、言い訳を念じながらインターネットで両方を購入しました。そうこうしているうちにバクラくんの香水がうちに来ました。配達員のお兄さんから段ボールを受け取り、気を鎮めてから手首に吹きかけてみました。

 うん、うん……ユニセックスと聞いていたけど、ちょっとメンズライクな雰囲気がある。なんか思ってたより爽やかな香りだな……。夏の並木を通る風みたいな、すごいさっぱりした……これって言うほどバクラか? いくぶん爽やかすぎない?

 と思っていたところ、急にグンとスパイシーな香りがしました。え、あ、待って!! ちょっと待って!!! これは!!!! 考える間も無く香りは次第に深みを帯びていって、南国の深い海を思わせる重層的な風景へと変化しました。そこにフローラルな香りが重なり、非常に多様な面が見えます。

あーーーーー!! あーーーこれは!!!! あーーーーーーーー!!!!!! 

 

バクラや

 

バクラがおる

 

この香水を選んでくれた人、ありがとう

 

 ところで、香水音痴の私なのですが、この香水の情報を調べると、構成は

トップ:ラベンダー、シソリーフ

ミドル:ブルーティーアコード、バイオレット

ラスト:イリス、ムスク

 であることが分かりました。香料に詳しくなさすぎて半分くらいしか分からないのですが、せっかくなので何の香料がどんな特徴を持っているのか調べてみました。

 ラベンダーはさすがに分かるとして、シソリーフってしその葉っぱのこと? 調べたところ、多分そうみたいです。しそ、かあ……。しそ、子供の頃近所のおうちで高確率で植わってて、友達の家行ったときもものすごい確率でしそジュースが出てきたんですよね。その、しそらしいです。

 ミドルのブルーティーアコードは何がなんだか分かりません。調べたところによると、まず区切りが「ブルーティー・アコード」なんですね。この香水が中国の青茶=烏龍茶を題材にしているとのことなのでブルーティは分かるのですが、アコードとは何のことだろう、と思ったので引用します。

アコード(Accord)とは調和、協定、一致と言った意味を持つ。 香水用語としては、「香りの調和」をさす言葉。複数香料を調香した際のバランス具合などを意味する。

出典元:https://www.fashion-press.net/words/434

 分かったような、分からんようなという感じがします。とりあえず、青茶風にブレンドした香料と捉えればいいんでしょうか。

 続いてのバイオレットはすみれですね。でもすみれをこれまでの人生でにおったことがないので、匂いのイメージが湧きません。これをインターネットで調べてみましたら、香料に使われるのは「ニオイスミレ」という品種で、甘くて爽やかな香りがするとのことです。そう言われてみれば、そんな匂いを感じる気がします。

 ラストのイリスも調べてみます。検索結果に出てきた画像では菖蒲に似た紫色の花が出てきたのですが、香料に使われるのは「ニオイアヤメ」という菖蒲に近い種みたいですね。このイリスの原産地は地中海沿岸地域ということでエジプト感が出てまいりました。

 そして最後のムスクですが、これもよく知りませんので調べます。これまで何度もムスクという単語に触れる機会がありましたが、その度に「あ〜ムスクねハイハイ」とごまかしごまかし生きてきたツケを今払うことになりました。なんとなく「古代エジプトと関係ありそう」と思っていたムスクですが、クレオパトラが好んで使用していたという逸話があるようなので、それを断片的に覚えていたのかもしれません。ジャコウジカの香嚢(こうのう)という部位から取れるこのムスクは、それ単体では不快な匂いなのですが、わずかな量を香水に混ぜることで深みのある豊かな香りにしてくれるそうです。その性質からラストノートに使われることも多いとのこと。

 以上、一通り調べてみて、全体的に爽やかでフローラルかつ、そこに青茶やムスクといった要素が足されて深みのある印象になっているのかなと思いました。

 実はパッケージを開けてすぐ感じた香りに対して「車の芳香剤じゃん」と思ってしまったのですが、実際に肌に馴染ませてみるとそんなことは全くない高級な香りで、車の芳香剤とは一線を画していて安心しました。

 それにしても、今回バクラくんの香水を実際に試してみて、想像より夏っぽい雰囲気の香水だったことに驚きました。私が今回依頼文に書いたバクラくんに関する説明は、大まかな経歴と私の持っているイメージについてのみで、特に季節感などは指定していませんでした。言われてみれば、彼の存在の刹那感は夏を思い起こさせますし、季節でいえば夏で表せるのかもしれません。他の人に推しを再解釈してもらうとこういう発見があるのだなあ、という大変面白い体験が出来ました。

 明日、海馬くんの概念香水が届きます。

推し香水を頼んでみた

推し香水というサービスがあるので、大学2年生が書くレポートくらいの分量でそれぞれ海馬くんと闇バへの思いを書き綴りそのサイトのフォームから送った。私の怪文書がどのように解釈され、どのような香りとして届くのか楽しみである。ただし私は来年の2月まで日本に帰れないので、一体どんな香水が送られてくるのかは半年以上知りようがない。こういうこともあるよなあと思う。